ミッション4 『新任班長』
第六回

 今日も暑い。結局、昨日の気温はこの夏一番の暑さになったらしい。8月も終わると言うのに、夏一番の暑さと言うのだから、これこそ異常気象と言うに相応しいと言う訳だ。
今日も、そんな昨日に勝るとも劣らないほどの暑さ。こんな暑い日は、涼しい場所で過ごすのが一番なのだろうが、生憎と仕事の召集が掛かってしまい、彼を含めた仲間達は本部のビルに集まっていた。
「んで、わざわざ暑い場所に出向かなきゃなんねーんだ。いい加減、エアコンぐれー買えっての」
 まるで、自分にでも言い聞かせているかのように、アドが声を大にして愚痴を漏らす。貧乏なL地区支部には、当然エアコン設備はなく、同じ様に貧乏なアドの家にもエアコン設備はない。さらに言うなら、L地区支部には扇風機があるが、アドの家には扇風機ですらない始末だ。
「俺はこれぐらいが快適だぜ。機械ばっかりに頼ってちゃ、身体に良くねぇって思わねぇかい?」
 そんなアドの言葉を嘲笑うかのように、ショウが言葉を漏らす。だが、そんなショウの意見に賛同する人物がその場にいるはずもなく、あえて口を突っ込む者もいないようだった。余計な事で口を出してしまうと、尚更暑さが増してしまう事を悟っているのだろう。
「そうだ。ギュゼフ、昨日はサンキュな。お陰で、エアコンどころか、他の部分までばっちり修理されちまったぜ」
 内輪を両手に抱えた上に、扇風機の前に陣取っているアドは、思い出したようにギュゼフの方に振り向いて礼の言葉を口にする。昨日はギュゼフの紹介のお陰で、カールの修理屋で色々と世話になった。必要以上の修理をされた事はあまり快いとは思っていないが、腕は確かだったために、修理内容には満足している。彼の紹介でなければ、料金はもっと跳ね上がっていた事だろう。
「いいえ。お役に立てたようで何よりですよ。カール、レオンとは良い関係になれると思うんですが、どうでしょう?」
 手をパタパタと振りながら、同じ様に扇風機の前に陣取っているギュゼフは適当に頷いてみせる。
「あ、そだ。ギュゼフ、今度あたしのお願いも聞いてくれるかなん?」
 ギュゼフの質問にアドは特に言葉を返す事はなく、その代わりにリスティが言葉を返して来た。見ると、リスティは何やら一冊の本を抱えてギュゼフに懇願の眼差しを送っている。そんなリスティの熱い視線に、ギュゼフが黙っているはずがない。この暑さの中でも、リスティからの熱い視線ならば大歓迎である。先程のアドとの会話とは正反対に、ギュゼフはリスティの方に身体ごと向けて、真剣な眼差しで彼女の話を聞く事にする。
「アンちゃんの願いなら、何でも叶えて差し上げますよ。デートとかだったら、大歓迎ですけど?」
 さり気なくデートの受付をするギュゼフだが、リスティにそんな言葉は無駄な事である。実際に、リスティはギュゼフの語尾のデートの誘いには何の反応もせず、前半の願いを叶えると言う言葉にのみ反応してみせる。
「ホントにー。嬉しいなん。えっとね、今度あたしに火薬を使った武器の作り方を教えて欲しいの」
 そして、そんなリスティの口から零れた言葉は、女性らしからぬ単語の羅列だった。予想もしていなかった言葉を発したリスティに、ギュゼフは目を丸くして驚いてみせる。まさか、彼女の言葉から香水とオシャレ以外の単語が出てくるとは思っていなかった。しかも、よりにもよって火薬を使った武器と来たものだ。確かに、ギュゼフはそう言った物の製作には長けているし、趣味の一環として銃の改造や新しい武器を作るのは常日頃から行っている事だ。リスティは、それを見込んで依頼をしたのだろう。
「え、えぇ。そんな事はお安い御用ですけど。アンちゃんが武器なんて、似合いませんよ?」
 ギュゼフは頭を左右に振って、リスティに訴える。だが、彼女の意思は思いのほか強いようで、自分の言葉を曲げるつもりはないらしい。
「うん。あたしもそう思うんだけど、自分の身ぐらい、自分で守れなきゃね、って思ってさ。今はショウに銃の撃ち方教わってるの。だからギュゼフには、武器の作り方教えてもらおうと思ってねん」
 まさか、リスティの言葉から、自分の身を自分で守るなどと言う言葉が出てくるとは、夢にも思っていなかった。リスティのようなタイプは、誰かに守ってもらうのが一番な性格をしている。ならば、その役目はアドやショウではなく、自分だと思っていたギュゼフである。だが、リスティ自身はその誰でもなく、自分で身を守る事を決意したようだった。
「ア、アンちゃんがそう言うなら、別に止めはしませんが、無理しないでも私が守ってあげるのに」
 今までもそう思っていたし、これからもずっとそうしようと思っていたギュゼフ。当然、アドやショウも同じ事を考えている事を見越しているが、あえて口に出してみた次第だ。そんなギュゼフの言葉に、アドはそっぽを向いたまま何も言わなかったが、ショウはゆっくりとした動きで耳を傾けて来た。
「そいつぁ、良い事なんじゃねぇかい? リスティが自分の身を自分で守って、さらに俺がリスティを護る。これで2重のディフェンスって事だ。2重窓みたいに、中々の鉄壁になるんじゃねぇかい?」
 本当にそう思っているかは微妙なところだが、少なくても自分がリスティを護ると言う言葉に偽りはないだろう。顔は笑っているが、目が笑っていない。ショウは、本気でリスティを護る気があると言う訳だ。
「みんなありがと。でもね、あたし決めたの。みんなに護ってもらってばっかりじゃ、ダメだって。ほら、前にもあたしが捕まっちゃって迷惑掛けた事が何回かあったでしょ? いっつもそんなんじゃいけないんだよ。こう見えても、あたし長女なんだからねん」
 長女と今の話と何が関係あるのかは不明だったが、リスティの言葉には大きく頷ける部分がある。それは、その場にいる3人――正確には、ウエストも無言でパソコン作業をしているので、4人だ――の男達の共通の意見である事は間違いない。
「おお、皆集まってるみたいだな。ちょうど良い。君達に報せなければならない事があるところだ」
 不意に、リスティ達の会話に割り込んできた人物がいた。一瞬、ウエストが口を開いたのかと思ったが、パソコン作業に集中しているウエストが途中で口を挟む事はありえない。声のした方に視線を向けてみると、そこには下っ腹がつき出た中年の男――L地区支部のボスが重そうな足取りで歩み寄って来ているところだった。
「あ、ボスー。おはようございまーす。あたし達に報せる事って何ですかー?」
 声を掛けて来たのがボスだったため、アドとショウが同時に明後日の方へ顔を向ける。だが、リスティが彼の言葉に反応する。先程自分が口にしていた会話の事はすっかり頭から抜けてしまったようで、今はボスの言葉だけが気になるらしい。相変わらず呆けた顔をして、ボスの方を直視している。
「話と言うのは他でもない」
 リスティの言葉を引き金に、ボスはもったいぶった様な言い回しで話し出した。リスティを除いた3人ともがボスの話に期待していないのだが、それでもボスはそのままの調子で話を続けた。
「先日、前班長が転属になった事は周知だと思うが、そのお陰でこの支部には現在班長が不在となっている」
 そんな話は、この場にいる誰もが知っている話である。わざわざ、改めてこの場で報せるような内容ではない。いつも通りのボスの言い回しに、アドとショウはイライラ感を隠しきれない。ただでさえ暑いと言うのに、このボスの登場で尚更暑くなってしまったほどだ。アドにおいては、手にした内輪を机の上に放り投げて、扇風機を強にして顔を思いきり近づけている。あまりにも顔を近づけた所為か、思わず息苦しくなってしまうアドだが、平静を装って無表情を保っている。
「そこで、だ。今回、新任班長を紹介しようと思う」
 転属の多いB-Fogと言うイメージの強いアドは、またもや苛立ちを隠せない。少し前に自分が転属されたと思ったら、また他の人物が転属されて来たと言うのだろうか。人を異動させて、次の人を他から持ってくればそれで済むと思っている上層部の考えが全く理解出来ない。人は道具ではないので、簡単に異動をさせて上手く仕事が機能するとでも思っているのだろうか。
「レオンブルーくん。そんなに肩をすくめなくても良いではないか――」
 余計なお世話である。ボスの言葉に、アドは胸中で舌打ちをする。だが、ボスの言葉はそれで終わりではなかった。ボスが口にした続きの言葉にアドは思わず聞き返してしまう。
「んあ? 今、なんつった? オレが何だって?」
「だから、何度も言わせないでくれたまえ。今日から、君が班長だ。班長代理から昇進と言う事だな。L地区支部の取り纏めを頼むよ」
 先程よりもはっきりした口調で繰り返すボスの言葉は、やはり先程耳にした言葉と同じ内容だった。言い回しこそ多少の違いがあるものの、その意味は同じ内容を示している。
「はっはっはっ、こいつぁ傑作じゃねぇかい。アド班長さんよ」
 ボスの言葉に、ボスが現れた瞬間に無言になっていたショウが沈黙を破る。まさに哄笑と呼ぶに相応しい声で笑い飛ばすショウ。隣にいるギュゼフも、声には出していないものの、ショウと同じ様な面持ちをしている。突然の報せに、仰天を通り越して笑うしかない。
「えー、アドが班長なのー。それはちょっとヤダかもなー」
 リスティも、ある意味ショウやギュゼフと同じ様な反応なのかもしれない。班長就任に祝福の言葉は一切出てこないようだ。だが、アドにとっても、祝福されるよりも笑ってもらった方がすっきりすると言うもの。正直、班長代理ですら面倒だと思っていたアドだったが、さらに面倒な班長に昇進してしまったと言うのだ。出来る事ならば、目の前にいる腹の膨れた男性をボロ雑巾のようにぶちのめしたい気分だ。そうでもなければ、今のは冗談だと言ってもらうのが一番納得の行く結末と言えよう。
しかし、目の前のボスがそんな冗談を言うような男ではない。それに、冗談でもこんな面白くない冗談は二度と聞きたくないのがアドの望みだ。
「冗談じゃねーぞ。オレはんな面倒なのはやんねーぞ。よっぽど、他から班長持って来た方がマシだっての!」
 半ばヤケクソ気味に吼えてみるが、それは悲しい犬の遠吠えとなってしまう。何故ならば、ボスはアドが口を開く前に、その場から姿を消してしまっていたからである。アドの大声が、虚しく部屋の中に響き渡る。
リスティは、片目をつぶって両手で耳を塞ぎこんでいる。それはまるで、騒音を迷惑に思うような、そんな態度である。時々思うのだが、何故かリスティはアドに対してのみ、こうした嫌味にも似た態度を取る事がある。他の人間には、常に呆けたような反応ばかりするのに、だ。それだけ、リスティがアドに対して嫌な気持ちを持っていると言う事なのかもしれない。
「アドさん、班長就任おめでとうございます。就任記念に、ビッグニュースですよ」
 いつの間にやら話に割って入ってきたのか、先程までパソコン作業をしていたウエストがアドに向けて祝福の言葉を投げて来る。瞬間、リスティを除いたその場にいた全員が、声の主の方に視線を向ける。アド、ショウ、ギュゼフと全員が異なった眼差しをウエストに向ける。だが、そんな彼らの視線を気にする事なく、ウエストは淡々と話を続けた。
「まずは、このニュースから見て下さい」
 言いながら、手元のノートパソコンの画面を一同に見えるように向きを変える。3人は、言われるがままにパソコン画面に視線を送り、画面に流れるニュースに集中する事にした。

ニュースの内容は、おおよそ以下のような内容だった。
『バイオガン同盟の二代目党首、シュプール・ティン氏は、最近多発しているテロ事件ついて、組織的犯行ではないかと証言している。この組織的犯行を阻止すべく、バイオガン同盟の全精力を結集させてテロ組織を撲滅する事を発表した。同時に、バイオガン生産工場でのバイオガンの増産、加えて新型バイオガンの開発を着実に進めていく見込み。
増産したバイオガンは、警察隊や特別任務隊などに支給されるとの事。特別任務隊については、今後編成予定であり、選りすぐりの人材を抜擢するようにする。中でも一番目を見張ったのは、敵対組織であるB-Fogとの共同作戦も検討しており、既に上層部では談議に入っていた。近々、作戦の内容が正式に発表されるもよう』

「この女、けばいな」
 パソコン画面に流れるニュースに映る、バイオガン同盟の二代目党首、シュプール・ティンの姿を見て、アドは無表情のままで呟く。確かに、アドの言う言葉も頷ける話かもしれない。
シュプールの出で立ちは、誰から見ても派手な格好であり、アドでなくても毛嫌いの言葉を口にしてしまいそうであった。真っ茶色に染めた長い髪の毛は、元々が何色だったのか分からないほど派手で明るい色をしている。それに習うかのように、少し濃い目の化粧で覆われた表情。年齢もまだ26歳だと言うのに、ここまで濃い化粧で飾る意味がないように思えて仕方がない。服装においても、胸の肌蹴た大胆な格好をしており、その豊満な胸ゆえにまさに零れそうな勢いだ。男ならば、視線はそこに釘付けされる事は間違いない。胸元には、首から下げられた紐によって釣り下げられた眼鏡が、まるでネックレスの様に掛けられていた。研究者と言う事だけあり、肩から白衣を掛けてあり、その妖艶な姿を少しばかり和らげているかのようだ。だが、太ももを大胆に露出した超ミニのタイトスカートは、動いたら中が見えてしまいそうな勢いである。
「イケてるじゃねぇかい、このお姉ちゃん。結構、俺の好みだぜ」
 アドの反応とは正反対に、ショウは好反応を示す。ショウは、このような妖艶な女性が好みなのだろうか。リスティとは似ても似つかないこの女性は、ショウにとっては憧れのようなものなのかもしれない。
「うわぁ、すっごいね、この人」
 パソコン画面に映る女性と自分の姿を見比べながら、口を開けたまま呆けた表情をしている。リスティの口にした『すごい』と言う言葉は、決してそのニュースの内容に対してではない。自分とは比べ物にならない程大きな胸に対してである。
「誰もニュースの内容は気にしないんですね。これ、凄いことですよ。バイオガン同盟がテロ組織を撲滅する、なんて。これじゃ、まるで軍隊だ」
 パソコン画面のニュースを見て、唯一まともな反応をしたギュゼフは、冷静にニュースの内容を分析してしているところは流石と言ったところか。
「ね、ビッグニュースだったでしょ。僕が予想するに、これは世界に革命が起きますよ。バイオガン同盟がB-Fogと手を組むなんて話、僕がバズーカ砲を両手にミッションに出掛けるぐらいにとんでもない事です」
 ニコやかな顔で微妙な例えをするウエストは、ある意味一番冷静なのかもしれない。
「それで、このニュースに対して、B-Fogの公式ウェブサイトのブログが更新されているんですよ」
 言いながら、ウエストは右手でマウスを動かして、パソコンの画面を先程のニュースの画面から、B-Fogの公式ウェブサイトへと移動させる。アドは、その画面を見て少しばかり驚いた表情を浮かべる。何故ならば、B-Fogに公式ウェブサイトがあった事を知らなかったからである。
「この組織にサイトがあったんだな。初めて知ったぜ。ってか、誰がブログ更新してんだよ」
 そんなアドの独り言には、誰も応える事はなかった。恐らく、他のメンツもB-Fogに公式ウェブサイトがあった事を知らなかったからなのだろう。それと同時に、誰がブログを更新しているかなどと言う知識があるはずもなく。
「これです。この部分を読んでみて下さい」
 アドは、ウエストに言われるがまま、ブログの一部分に目を通してみる。その文章を読んだ時、アドは言葉を失っていた。その文章は、彼にとって――いや、彼らB-Fogの一員にとって、衝撃的な内容が書きつづられていたからであった――。


 突然の召集に、彼女はズレた眼鏡を右人差し指で直す。
「補充要員、でありますか?」
 ボスの言葉にオウム返しする彼女――シャーリーの眉は、疑問符によって下に垂れていた。
「何、そんなに驚くこともなからろうて。このI地区支部も、先日のミッションによって人員不足を起こしてしまっているからな。補充をするのは当たり前のことだろう?」
 言いながら、ボスは悩ましそうな表情を浮かべる。
確かに、ボスの言う事には説得力がある。先日の建設工事中のビルでの件では、二人の現場担当が殉職し、班長が入院し、さらには特佐官が左遷されてしまい、実際に残った現場班所属は1名しか残っていない。そんな事もあり、シャーリーが自ら現場担当班への異動を希望したと思ったら、それと同時に新しい人員の補充と来たものだ。人が欠けたから補充すれば良いと思っているB-Fogは、人を弾丸か何かと勘違いしているのではないだろうか。人は、弾丸の様に補充すれば、それで元通りになるように簡単に出来ていないのだ。上層部は、それを理解していないような気がしてならない。
「紹介しよう。サカシタとドゥーエの2名だ。サカシタに関しては、班長代理を務めてもらう事になっている」
 シャーリーの気持ちなど気にする事なく、ボスは淡々と話を進めていく。2人の補充要員はボスの紹介に促されながら、シャーリーの前に一歩踏み出して来る。シャーリーの隣には、I地区支部の残されたもう一人である、ウインド・ルーファスが棒立ちになっている。早朝の緊急召集だったため、ウインドはまだ眠そうな顔をしている。そのため、今の話も大して頭の中には入っていないのだろう。時折、欠伸を噛み殺そうとしている仕草が、それを物語っている。
「本日より、I地区支部の班長代理を務める事になった、エドワード・サカシタです。前任の班長にも負けないぐらいに頑張りますので、よろしくお願いします」
 言いながら自己紹介をするのは、班長代理のエドワードと言う若い男。年齢から察するに、ディリーよりも若く見える。仕草から見ても、まだまだ経験もあまりなさそうな素人にも取れる男だ。正直、こんな男に班長代理が務まるのか不安だったが、雰囲気は悪くない。
「……オルガンだ」
 エドワードに続いて、もう一人の補充要員の男が口を開く。だが、彼の言葉はそれだけだった。それ以上何かをしゃべるつもりはないらしく、この時間ですら面倒臭そうな表情で明後日の方を向いている。エドワードが好印象だったのに比べて、このオルガンと言う男は雰囲気が悪いとしか思えなかった。学生時代の不良少年が、そのまま大人になったようないい加減そうな風体から判断しても、シャーリーとは相容れない存在である事は間違いない。そうは言っても、同じ支部に配属された仲間である以上、この男とは今後も付き合っていかなければならない。人を第一印象だけで判断するのは軽率すぎるのかもしれないが、彼とはしばらくの間距離を置いてしまいそうな予感がしていた。
「本日より、現場補助班から現場調査班に配属になりました、シャーリー・ハウトです。あなた方を心より歓迎します」
 半分ぐらいは社交辞令なのだが、様々な理由により人手不足になってしまっているI地区にとっては、貴重な人員だ。ディリーが退院するまでの間は、班長代理のエドワードを支えて、このI地区支部で頑張るしかない。いつの日か、アサカがこの支部に戻って来るその日まで――。

ミッション4 コンプリート

   

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